コールセンターにおけるカスハラの実態と効果的な対策5選

近年、問題が深刻化しているカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)ですが、顧客と直接コミュニケーションをとるコールセンターでは常にカスハラのリスクにさらされています。カスハラ対策義務化が進んでいるため、早急に対策をとる必要があるでしょう。
今回は、コールセンターで発生しているカスハラの実態とそれがもたらす影響、実際の事例、カスハラ対策とその課題と解決のポイントを解説します。
コールセンターで発生しているカスハラの実態と影響
カスハラの定義とコールセンターにおける実情をご紹介します。
カスハラとは?
カスハラとは「カスタマーハラスメント」の略称で、顧客の立場を悪用して悪質な要求や理不尽なクレームを行う行為です。
正当なクレームとは異なり、従業員に大きなストレスを与え、離職の原因となり得ることから、企業は安全配慮義務に基づき、従業員を守る責任があります。
企業は正当なクレームには誠実に向き合いつつ、不当なクレーム(カスハラ)には断固拒絶の姿勢を示す必要があります。
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カスハラの主なパターン
カスハラには、主に次のパターンがあります。
・怒鳴り・暴言
・差別・侮辱
・過剰な要求・不当な言いがかり
・長時間の拘束・要求
・個人情報の要求や脅迫
・SNSでの“晒し”行為の予告・実行
コールセンターのカスハラがもたらす影響
カスハラはあらゆる業界・業種で起きていますが、コールセンターでも生じています。コールセンターのカスハラがもたらす影響には次のことが挙げられます。
オペレーターの時間の不当な占有、生産性低下
カスハラにより数多くの顧客対応を担うオペレーターが長時間拘束され、時間を不当に占有されれば、コールセンター全体の生産性低下につながってしまいます。
モチベーション低下
オペレーターが心理的にストレスやダメージを受けることで、業務へのモチベーション低下につながり、生産性に悪影響を及ぼします。
心理的なストレスによる休職・離職
オペレーターのストレスが高まると、休職や離職の恐れがあります。うつ病発症などで休職・離職を余儀なくされることもあるでしょう。
人材採用・定着率への悪影響
カスハラ対策が万全に行われておらず、絶えずおびえながら対応するようなコールセンターでは、人材採用・定着率の点で悪影響を及ぼしかねません。
おすすめ
- ・カスハラで従業員が疲弊している
- ・クレームとカスハラの区別が難しい
- ・カスハラの研修内容が気になる

コールセンターのカスハラ事例
コールセンターで実際に起きたカスハラ事例をご紹介します。
同じ顧客から何度も苦情
一人のオペレーターに対し、同じ顧客から苦情があり「一次対応が悪い」「フルネームを教えろ」などと徐々に内容がエスカレートしていきました。そのオペレーターは恐怖で萎縮し、自分のせいで会社に迷惑がかかると、約1か月の休職を申し出ました。このような状況を受け、当該企業は早急にカスハラ対策の体制を整えました。
過度の謝罪や値引き要求
コールセンターでは電話のみのコミュニケーションになるため齟齬が生じやすいです。あるコールセンターでは、顧客とオペレーター双方の言い間違い・聞き間違いによって、業務ミスが発生してしまいました。その結果、顧客から過度の謝罪や値引き要求を受けました。
約4時間にもわたるクレーム電話で叱責
あるコールセンターでは、オペレーターが顧客から約4時間にも及ぶクレーム電話を受けました。ただのクレームではなく叱責が含まれていたため、カスハラに該当すると考えられます。
コールセンターのカスハラ対策5選
コールセンターでは、一般的なカスハラ対策を進めつつ、特に次のようなカスハラ対策の実施がポイントになります。
対応マニュアルの策定
コールセンターでは、顧客と直接電話でコミュニケーションをとることから、カスハラを受けた際に、オペレーターやSVが適切な対処を行う必要があります。そのため、あらかじめカスハラ対応マニュアルを策定し、周知徹底しておくことが必要です。特にオペレーターがどの段階でSVへエスカレーションするかの基準を明確に定めておく必要があります。
またクレームを受けた際には「3つのカエル」という対処法があります。具体的には、「①人を替える」「②時間を替える」「③場所を替える」の3つです。例えば、怒って興奮気味の状態でクレームを寄せる人は、人・時間・場所のどれかを「替える」ことで落ち着く傾向があるという考え方です。コールセンターでは丁重に主張と意見を傾聴した上で、一度電話を切って責任者からかけ直すようにするといった対処法をマニュアルに盛り込むのも良いでしょう。
カスハラに対しては、これまで以上に注意深く対応し、明らかな違法行為については、警察への通報や法的措置を検討する必要があります。その判断基準を明確に定めておくことも必要です。
カスハラ研修の実施
カスハラ対策は、ただオペレーターなどにマニュアルを渡すだけでは不十分です。通常のクレームとの棲み分けや判断基準などは、研修を通じて不明点を解消しながら身につける必要があります。またカスハラに遭遇したときの対応方法のシミュレーションを具体的に示すことも大切です。
通話録音
顧客へ電話をつなぐ前に、自動アナウンスにより「品質向上のために通話内容を録音させていただきます」と断りを入れた上で、通話録音を行うことも有効です。その結果、顧客の不適切な言動の抑止につながります。万が一のトラブルの際に客観的な証拠となるため、対処も迅速になります。
オペレーターのストレスケア
カスハラはオペレーターに大きな心理的ストレスをもたらします。万が一、カスハラを受けた場合は、対応したオペレーターに対し、ストレスケアを行いましょう。定期的にストレスチェックを行うことも必要です。
相談窓口の設置
社内にカスハラ相談窓口を設置し、オペレーターがささいなことでも相談できるようにすることで、心理的にも安心感が生まれます。
コールセンターのカスハラ対策の課題
コールセンターのカスハラ対策は、早急に進める必要がありますが、対策を実施する際に、次の課題に直面することがあります。
法規制への対応と体制作り
カスハラ対策は、2025年6月の改正労働施策総合推進法により義務化されました。またすでに東京都などのいくつかの自治体はカスハラ防止条例を施行しており、対策は急務となっています。
法規制に基づく適切な対応体制を社内に設け、対策を進める必要があります。
研修内容に不安がある
カスハラ対策の一つである従業員向け研修は重要事項ですが、カスハラに実際に遭遇した際に、適切な対応ができるようにするには、テクニックが必要といえます。またカスハラの実態を周知する必要があっても、研修講師側が知見や経験に乏しいことに不安を覚えるかもしれません。プロのノウハウを取り入れたいこともあるでしょう。
カスハラ対策コストに限りがある
カスハラ対策を行うには、体制を整えたり、音声録音やシステムなどを導入したりと、一定のコストがかかります。しかしカスハラ対策にかけられるコストには限りがあるため、コストを抑えながら対策をとる必要があるでしょう。
通話録音・音声テキスト化などのシステム選定が難しい
通話録音や音声テキスト化システムなどの導入が初めての場合、選定に迷うこともあるでしょう。そのようなときは、プロの知見を活かしたアドバイスを受けることをおすすめします。
これらのカスハラ対策の課題に対応するためには、コールセンターにおける、カスハラをはじめとした顧客対応のプロの研修などの支援を受けるのも有効な方法です。
まとめ
コールセンターでは、常にカスハラのリスクにさらされており、義務化への対応も必要です。適切なコールセンター運用を進め、品質の高い顧客対応を維持するためにも、ぜひカスハラ対策を徹底しましょう。
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